since 2013

10th Anniversary WM PARTNERS

#∞ 自分らしく働き、私たちらしく支え合う

WMパートナーズ株式会社

ヴァイス
プレジデント
崔 傲 氏
オペレーティング・
マネージャー
細田 脩子 氏
インベストメント・ディレクター/
共同創業者
寺部 達朗 氏
法務担当
マネージャー
吉川 佳子 氏

2023年に設立10周年を迎えたWMパートナーズ。創業期から女性メンバーが活躍し、現在は4割以上を占めています。昨年には外国籍の人材も参画し、組織の多様性が高まりました。そんな同社の歩みに通底するのは「D&I」という考え方です。

そこで連載企画の締めくくりとして、さまざまなバックグラウンドを持つ4名の座談会を設定。創業メンバーの寺部達朗氏、中国出身の崔傲(サイゴウ)氏、弁護士の吉川佳子氏、投資先支援担当の細田脩子氏です。多様なワークスタイル、助け合うカルチャー、次の10年に向けたチャレンジなどについて、語りあってもらいました。

D&I(Diversity&Inclusion):ダイバーシティ(多様性・相違点)とインクルージョン(包摂・包括・受容)の要素を合わせた概念。多様な人材が互いの違いを認め合いながら、組織の一体感を醸成する取り組みをさす

【女性が多い理由】 ダイバーシティを重視した組織づくりの結果

PEファンドの業界は男性比率が非常に高いとされていますが、WMパートナーズは4割以上のメンバーが女性です。その理由を教えてください。

寺部:要因のひとつは創業の経緯にあります。WMパートナーズは2013年に日本アジア投資からスピンアウトして生まれました。創業メンバー4名には女性も含まれ、彼女がファンド運営のミドル・バック業務を受託するWM Fund Associatesの代表に就き、多くの女性が活躍するようになりました。

ただし、特別に男女比率を意識したわけではありません。組織の「D&I」を進める過程において、さまざまな方を受け入れて、多様な働き方ができる環境を整えてきました。重要なのは性別ではなく、一人ひとりの特性を活かしてもらうこと。そういった取り組みの結果として、現時点の女性比率が4割を超えているだけです。今後も数字は上下するでしょう。

【多様な働き方①】 相乗効果を生む法律事務所との兼業

弁護士の吉川さんは女性マネージャーのひとりです。どのような働き方をしているのですか?

吉川:法律事務所に所属しながら、WMパートナーズの社員として企業法務を担当しています。前者は紛争後の対応が多く、後者は紛争を起こさないための予防法務です。法律事務所で裁判手続きを実践しているからこそ、当社のコンプライアンス強化などの予防策を具体的に考えられる。副業というよりも、相乗効果を生む兼業のようなイメージです。

吉川氏

吉川さんは2人のお子さんがいらっしゃると聞きました。そういった観点において、働きやすい環境はありますか?

吉川:はい。在宅勤務が認められているので、子どもの「ただいま」が聞こえて、「おかえり」と言ってあげられます。仕事の優先順位を把握すれば、平日の授業参観や入学式・卒業式などにも出席できます。以前は行政機関に勤めていましたが、一部を除きリモートワークが禁じられていました。いまも通勤が必須だったら、子どもの帰宅時間には間に合わないでしょう。

リモートワークによる不都合は感じませんか。

吉川:チャットやオンライン会議で意思疎通できるので、特に支障はありません。法務の専門的な問い合わせに回答する場合は、テキストによるコミュニケーションの方が便利なくらいです。記録に残らない口頭よりも、法令調査やタスク管理がしやすいですから。

【多様な働き方②】 ワーケーションでマラソン大会と旅行を満喫

細田さんもマネージャー職ですが、ワークスタイルに特徴はありますか?

細田:投資先企業に半常駐しながら、必要に応じて当社オフィスへ出勤しています。前職と比較すると、ワークライフバランスを実現できるようになりました。以前はコンサルティング会社に勤めていたのですが、社員の8割以上が男性。残業が多く、有給休暇も担当案件の合間に取得する必要があり、希望通りに取得しづらい環境でした。

当社にもハードワーカーはいますが、メリハリをつけている人が多い。あらかじめGoogleカレンダーなどで情報を共有して、有給休暇を取ったり、早めに上がったり。男女問わず、プライベートを大切にしていると感じます。

細田氏

細田さんのメリハリのつけ方を教えてください。

細田:趣味のフルマラソンと旅行を満喫するために、働き方を工夫しています。たとえば、日曜日の「北海道マラソン」に参加する場合。土曜日に前乗りしても、観光する時間はほとんどありません。そこで大会の翌日以降もしばらく現地に滞在し、ワーケーションを実践しています。日中はリモートワークを行い、業務外の時間に観光を楽しむわけです。

寺部:北海道のマラソン大会に出ているなんて、知らなかったよ。

細田:オンライン会議に出るときは、バーチャル背景を設定していますから。でも、寺部さんもあまり都内にいませんよね?

寺部:バレたか(笑)。先週はタイに行ってたし、アメリカやイスラエルからオンライン会議に参加したこともあります。

細田:私は今年の夏も「北海道マラソン」に参加します。すでに社内共有のGoogleカレンダーに予定を入れて、ホテルも予約済みです!

【多様な働き方③】 在宅勤務で妻を看護し、子どもを学校に送迎

中国出身の崔さんは、昨年1月にWMパートナーズへ入社したそうですね。ワークスタイルや働く環境に特徴はありますか?

崔:リモートワークが認められている点は前職と変わりません。ありがたかったのは、個人的な事情をくんでもらえたことでした。

じつは昨年1月に、妻がスキーで足を大ケガしてしまったんです。頼れる両親や親戚は日本にいません。もともと家事も育児も夫婦で分担していましたが、ほとんどが私の肩にのしかかってきました。しかも、当時は入社したばかり。仕事を覚える時期なので、毎日定時で帰るのも気が引けます。

すると、妻の大ケガから数週間、在宅を中心としたハイブリッド勤務を認めてもらえました。子どもの学校の送り迎えでオンライン会議すら参加できないときは、重要情報をチャットなどで事前に共有。チームのみなさんにサポートしてもらいながら、いちばん苦しい時期を乗り越えることができました。

崔さんが外国籍だから特別扱いされたわけではなく、チームメイトだから突発的な事態に配慮してもらえたわけですね。

崔:あれから約1年が経ち、ようやく妻の手術とリハビリが終わりました。会社に申し訳ないと落ちこんだときもありましたが、本当に感謝しています。

崔氏

【助け合う文化】 自己管理能力を背景に、互いの業務をサポート

細田:私は2021年に入社したのですが、その頃から助け合う組織文化を感じていました。誰かが早く帰らなければならないときは、他の人が仕事をサポートする。特に制度があるわけじゃなくて、自然と支え合っているんです。私も先輩の代理で夕方の会議に出たり、代わりに出てもらったりした経験がありますね。

崔:みなさんプロフェッショナルなんですよ。メンバーに事情を説明して、リスクと対応策を共有すると、即座に理解してくれる。それぞれの自己管理能力が高いからこそ、助け合えるのだと思います。

そもそも、なぜ助け合うカルチャーが生まれたのですか?

寺部:おそらく、創業メンバーが助け合っていたからでしょう。その姿がマネジメント層の模範となり、少しずつ組織文化として浸透したのかもしれません。

ワークスタイルも創業時から多様だったのでしょうか。

寺部:ええ。たとえば、私は社外活動としてプロスポーツチームの運営に携わっています。もともと創業メンバーに「こういうカタチで働いてもいいよね?」と同意を得てから、当社の設立に参画しました。だから、副業制度やリモートワークが当たり前のように導入されているんです。

あれから10年が経ち、もはや制度を自慢げに語るような時代ではありません。形式的にダイバーシティを実現するのは簡単です。それよりも大切なのは、さまざまな得意分野を持つ人材を採用して、自然と仲間になれる環境をつくること。昨年の社員旅行もその一環です。

【一体感の醸成】 社員旅行の課題は"楽しんでいる写真の撮影"

環境づくりについて、具体的に教えてください。

寺部:社員旅行は1泊2日で北海道を訪れました。初日は大型球場などを見学した後、設立10周年を祝うパーティーを開催。2日目は課題を設定して、5~6人のチームごとに行動してもらいました。ポイントは普段交流の少ない人たちでチームを組むこと。課題は「チーム全員が楽しんでいる様子」の写真撮影です。

私が驚いたのは、想像以上にみんなが楽しんでくれたことでした。北海道大学、円山動物園、サッポロビール園など、計100枚以上の写真がグループチャットに寄せられたんです。当初の目的はチームビルディングやインクルージョンでしたが、それを超える笑顔があふれていましたね。

グループチャットに寄せられた写真

崔:それよりも一足早く、私たちは最高の写真を撮っていました。初日の夜、同僚から「ラーメン屋に行こう」と誘われて――。

そこは夜10時に開く人気店。チームメンバー5人で肩を寄せ合って行列に並び、長い待ち時間を過ごしました。やっと店に入れたのは、日付が変わる頃です。同じカウンターに座り、おいしいラーメンを味わう。みなさんとプライベートの話をする機会も少なかったので、貴重な体験でした

しかも、思い出がカタチに残ります。店の前で集合写真を撮影したところ、たくさんの笑顔が写っていました。感動しましたね。あの日から、メンバーとの“よしみ”を感じています。

チームの課題をこなしたわけではなく、心から楽しんだわけですね。

崔:日本で働くようになって、初めての感情かもしれません。嬉しくて、家族に報告したくらいです。

ラーメン店前の崔氏チームの写真

【新たな取り組み】 ブラインドサッカー協会の研修事業を支援

この連載記事はWMパートナーズの設立10周年を記念に企画され、今回でひと区切りを迎えます。次の10年に向かって、新たな取り組みはありますか?

寺部:この10年間、私たちは仲間に恵まれて成長してきました。その要因のひとつに「D&I」の推進があると考えています。だとしたら、次の10年はその輪を広げて、社会に貢献したい。その第一歩として、昨年12月から日本ブラインドサッカー協会(以下、JBFA)を支援しています

ブラインドサッカー:ゴールキーパー以外の選手がアイマスクを装着し、音の出るボールと声のコミュニケーションで行う5人制のサッカー。同競技の男子日本代表はパリ2024パラリンピックの出場権を獲得している

「社会貢献」「D&I」と口にするのは簡単ですが、概念が大きすぎて身近に感じられませんよね? 実際、社会貢献の方法はたくさんあります。そのなかで創業メンバーがサッカーをやっていたので、ブラインドサッカーにフォーカスしました。

寺部氏

具体的な支援内容を教えてください。

寺部:JBFAとスポンサー契約を結び、ブラインドサッカーの体験型プログラム「オフタイム」事業を支援しています。個人向けもありますが、特に法人向けの研修プログラムをブラッシュアップして、より多くの企業に広げたい。実際に参加してもらえば、ダイバーシティやコミュニケーションの重要性を体感してもらえるでしょう。

【体験型プログラム】 見えないからこそ、発見がある

御社のメンバーも体験型プログラムに参加したのですか?

細田:先日に私が参加しました。そこで改めて気づかされたのは、信頼関係の大切さ。そして相手の気持ちを想像して、コミュニケーションを行うことです。

プログラムでは指示を出すガイド役と、アイマスクをするプレイヤーに分かれます。私はプレイヤーになったのですが、ボールにさわるのがやっと。「目の前にボールがあります」と言われても、うまく蹴れませんでした。

でも30分ほど経ったら、次第に恥ずかしさが消えていきます。ガイド役を信じて、「ボールは左ななめ前!」「こっちに蹴って!」といった声を頼りに動く。初対面の参加者ばかりでしたが、最後はチームワークが生まれました。楽しくなって、その後の懇親会にも参加したくらいです。

寺部:ブラインドサッカーという競技自体が魅力的なので、研修にコンテンツ力があるんですよ。たとえば、キーパーは目の見える人が務めます。すると簡単にゴールが決まらないので、得点シーンがおもしろくなる。つまり、視覚障がい者と健常者がフィールド内に混ざり合うことで、ゲームバランスが良くなるわけです。頭でっかちに「D&I」の理念を説くよりも、よっぽど深く伝わるでしょう。

【次なる挑戦】 投資先に体験を共有し、社会貢献と企業成長を

最後に、今後の抱負や挑戦したいことを聞かせてください。

寺部:先ほどの話と重なりますが、私たちが10年間で得られた成長のエッセンスを、投資先はもちろん、より多くの企業に伝えていきたいですね。しかしながら、言うは易く行うは難し。改めて振り返ると、「D&I」の実践や普及は簡単ではないと感じています。

そんな難問に対する解のひとつが、JBFAの支援という「社会貢献」です。仮に100社の投資先にブラインドサッカーの研修を採り入れてもらえば、そこで働く1万人規模の方々に「D&I」体験を共有できます。

時代によって提供するものは変わるかもしれませんが、そんな成長の輪をより大きく広げることで日本全体の底上げに貢献したい。それが次の10年のチャレンジです。

Profile

寺部 達朗(てらべ たつお)

日商岩井株式会社(現:双日株式会社)を経て、1999年にベンチャー企業のインキュベーション事業を展開するイービストレード株式会社のCFOに就任。2004年、日本アジア投資株式会社(JAIC)に入社。JSPF2号の組成、新規投資、投資先のハンズオン・回収を担当。2013年7月にWMパートナーズ株式会社の設立に参画。社外活動として、プロスポーツチームの運営に携わっている。


Profile

崔 傲(さい ごう)

中国・瀋陽市出身。2012年、三井住友海上火災保険株式会社に入社。経理部にて、海外拠点の財務モニタリング、連結財務諸表レビューなどに従事。2016年、同社人事部付で一橋大学ビジネススクール国際企業戦略専攻に入学。MBAを取得後、2017年から同社の金融ソリューション部にて天候デリバティブなどの営業推進、登録金融機関の業務管理、未上場株の投資審査、インパクト投資の推進・実行などに従事。2023年1月、WMパートナーズ株式会社に入社。


Profile

吉川 佳子(よしかわ けいこ)

2006年3月、神戸大学法科大学院を修了。司法試験に合格し、同年12月に弁護士登録。法律事務所にて、相続、中小企業の諸問題、企業の倒産処理、事業再編などを扱う。2021年2月にWMパートナーズ株式会社へ入社し、企業法務を担当。法律事務所にも所属し、個人を顧客とする業務と両立している。


Profile

細田 脩子(ほそだ しゅうこ)

2013年、株式会社エスネットワークスに入社。在籍した8年間でPEファンドの投資先におけるPMI、IPO支援、国内ベンチャー企業の経理BPR、海外子会社の内部統制支援などに従事。2021年5月、WMパートナーズ株式会社へ入社。オペレーティング・マネージャーとして、バイアウト投資に加え、グロース・マイノリティ投資のハンズオン支援も担当している。